2025年6月12日に公開された『キングダム』最新話第839話「反逆行為」。
今回はこの話を読んで感じたこと、そしてとくに印象的だった洛亜完の行動について考察していきます。
まずは、前回のキングダム838話を振り返りたい方はこちらからどうぞ。
👉 キングダム838話「入城」考察はこちら
降伏という選択により、韓の民は二つに割れる
韓王と寧の決断により、韓は秦に降伏。東龍門が開かれ、謄軍が無事に新鄭の城内へと入城することに成功しました。
この新鄭では、5歳以上の子どもたちまでも徴兵されていた為、子供たちが無事に戻ってきたことで、親たちは無血開城という選択に安堵しているようです。
しかし、すべての国民が降伏を歓迎しているわけではありません。
長年にわたり国を守るために戦ってきた兵士や、一部の民衆は、その選択を受け入れられずにいます。
これまで韓という国の為、家族の為に多くの犠牲を払ってきたからこそ、「降伏=すべてを否定される」ように感じてしまう――その気持ちは理解できます。
それでも、戦い続けたとしても勝ち目がないのが現実です。だからこそ寧は、過去の犠牲ではなく“これからの未来”を守るという選択をしました。
謄軍の前に洛亜完が現れる
前回のラスト、新鄭を進む謄軍の前に立ちはだかったのは、洛亜完率いる西壁軍でした。
この軍には、大きく2つの勢力が含まれているように見えます。
- 無血開城に納得していない韓兵
- 強制徴兵された民兵(子どもを含む)
注目すべきは後者です。子ども兵たちの表情は、自ら戦いたくて立っているというよりも、「命令に従って仕方なく」という雰囲気がありました。
洛亜完の目的は「反乱分子の分離」
無血開城という韓王の命令に背く行為、一見すると反乱にも見える洛亜完の行動ですが、今回その真意が明かされます。
洛亜完は無血開城に反対する兵士たちを、新鄭の外へと誘導するために動いたのです。
その目的は、「降伏を受け入れた民たち」と「降伏を拒む兵士たち」を物理的に分離し、城内での衝突や流血を未然に防ぐこと。
つまりこれは、ただの反逆ではなく――
「両者を守るための決断」でした。
また、洛亜完としても投降を受け入れられない兵の気持ちもわかるはずです。
そんな兵達の長である洛亜完にとってこの選択は、将軍としての最終的な責任でもありました。
洛亜完の“その先”にある覚悟
謄と寧は、洛亜完の意図を見抜いていました。
それと同時に、洛亜完自身がこのまま生きて帰るつもりがないことにも、気づいていたはずです。
なぜなら、無血開城に納得できない者たちにとって、洛亜完は「最後の希望」。
彼が生きている限り、彼らは降伏せず戦い続けるかもしれない。
ならば、彼が自らが討たれる事で、反乱兵たちも戦意を失い、降伏を受け入れるかもしれない。――
仮に抵抗を続けても、現戦力で新鄭を奪還する事は不可能であり、洛亜完がいなくなれば反乱兵がどのような結末も迎えるかは容易に想像できます。
しかしどのような結末を迎えようと、これが反乱兵達が望む決断であり、洛亜完としても彼らの意思を汲んでの決断だったのでしょう。
また、そもそもここまで事態がこじれた原因の一端が自分にあるという責任からの、“けじめ”なのかも知れません。
「反逆行為」に込められた忠義のかたち
今回の話のタイトルは「反逆行為」。
確かに、形式だけを見れば洛亜完の行動は反逆にあたります。
しかしその実態は、国と民を守るための“忠義”と言えます。
謄と交わした、「寧を守る」というかつての約束を果たし、新鄭の民の命と、反発する兵士たちの意思を尊重し、
洛亜完はそのすべてを抱えながら、たった一人で全責任を引き受けようとしています。
それはまさに、武将としての美学であり、“将軍の覚悟”そのものでした。
韓王の行方はどうなった?
今回、前線に姿を見せたのは寧だけでした。韓王の姿は見当たらず、その行方は不明のままです。
とはいえ、ここまで王族として主に描かれているのは寧であり、これまでの描写からも、韓王が表に出てくる機会は今後も限られているかもしれません。
ただ、気になるのは夏候龍ら“治安維持軍”の動向です。
前回まで騒ぎ立てていた彼らが、ここ数話でまったく登場していないのはやや不自然。何か裏があるのではと警戒してしまいます。
謎の悲鳴の正体は明かされず
前回、羌瘣と礼が耳にした“謎の悲鳴”について、今回の話では明確な答えは描かれませんでした。
前回の記事では、様々な説を考察しましたが、結局何もない不安わ煽るためのただの演出だったのかも知れません…
次回以降での回収を待ちたいところです。
【まとめ】洛亜完、忠義に生きた最後の将軍
今回は、洛亜完の漢気溢れる覚悟が胸を打つ、まさに“神回”でした。
彼の行動は形式的には「反逆」かもしれません。
しかしその本質は、国と民と王族すべてを守るための“決断”であり、その覚悟を思うと筆者も思わず涙してしまいました。
正直、彼には生きてほしいと思ってしまいます。
でもそれは、彼の覚悟を無にすることになる――そう思うと、これが彼にとっての最良の選択だったのかもしれません。
次回、ついに飛信隊が新鄭へと入城します。
信たちがこの状況をどう受け止め、どう動くのか。そして、未だ不明の韓王や夏候龍の動きも含め、今後の展開に注目です。
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