2025年6月30日に公開された『あかね噺』第164話「誰が見ても明らか」
今回はこの話を読んだ感想と、今後の展開を予想していきます。
ついに本選開幕、そして気になる“あかね”の状態
ついに瑞雲大賞本選が開幕しました。
会場は満員、熱気と歓声に包まれる中で、記者の樫尾が心配していたのはただ一人――あかねの様子でした。
前回までの記事でも触れてきましたが、あかねは大会のすべての課題を手に入れるため、すでにかなり消耗した状態にあります。
あの覚悟の裏にある代償が、ここでどう影響してくるのか。
そして本選トップバッターを務めるのは、あの“阿良川ぜんまい”。
開会前は例によってはしゃいでいた彼ですが、どのような高座を見せてくれるのか――注目です。
トップバッターはぜんまい、『元犬』で勝負
ぜんまいが選んだ演目は『元犬』。
白犬が人間になりたいと願い、実際に人間となった男の珍道中を描くユーモラスな噺です。
師匠の阿良川全生を筆頭に、全正一門といえば“くすぐり”――つまり噺の中にギャグや目立つ演出を織り込むことで笑いを取る芸風が特徴。
この『元犬』はまさに、ぜんまいにとって最適な演目でした。
予選では最下位通過、開会前の悪ふざけと、期待されていなかったぜんまい。
しかし高座では、観客を沸かせることに成功。
自らの“得意分野”で勝負に出る、兄弟子としての意地が見えました。
悪目立ちの裏にあった“兄弟子”としての覚悟
今回の話で印象的だったのは、ぜんまいの“裏の顔”です。
開会前の奇行――「I am 主人公」の鉢巻や空回り気味なテンションの裏には、予選の結果に打ちのめされ、心が折れかけていた姿がありました。
「せめて観客の記憶に残らなければ」
と内心あせっているような印象がありましたが
しかしあかねのボロボロな姿を見て、ぜんまいも何かを感じ取ったのかもしれません。
そんな思いが、立ち振る舞いに出ていたのでしょう。
ギャグ担当かと思われていた彼が、誰よりも“覚悟”を持って舞台に立っていた。
その変化は、読者の印象を大きく変えるものだったと思います。
審査員たちの反応と、正明師匠の評価
ぜんまいの高座は、観客にも審査員にもウケていました。
5人中4人が90点以上をつけ、コメントもおおむね好意的。
評価としては上々――のはずでしたが、ただ一人、あの人だけは違いました。
椿屋正明師匠です。
大会審査員長の彼は極めて厳しい採点とコメントを残します。「熱量だけでは通用しない」
そう言わんばかりに、ぜんまいの高座を冷静に見抜き、突き放す評価を下しました。
正明師匠は“作品派”。描写の細やかさや構成、深みを重視するタイプであり、観客を沸かせただけでは評価しない。
この大会で勝ち抜くためには、彼を納得させる芸を見せなければならないのです。
次回、いよいよ“ひかる”の十八番が明かされる
そして物語は次なる高座――“ひかる”へと移っていきます。
予選では圧巻の実力を見せた彼女が、本選でどんな演目を披露するのか。
ライバルであるあかねとからしが、それぞれ実力と覚悟を見せた今、ひかるは二人に対して、どんな“答え”をぶつけてくるのか。
そして、師匠から託された十八番とは――
次回、ひかるの真価が問われる高座に注目です。
まとめ|ぜんまいが見せた“覚悟”と正明攻略の壁
今回の話を読んで、正直あまりいい印象を持っていなかったぜんまいのイメージがガラリと変わりました。
本気でぶつかる覚悟、そして兄弟子としてのプライド。
噛ませ犬のように思われていた彼が、一気に魅力的なキャラに成長した印象です。
とはいえ、本選で勝ち抜くためには“椿屋正明”という壁を越えなければならない。
あかね、ひかる、からし――この三人がどう正明師匠を攻略しにいくのか、物語の本当の見どころはここからです。
次回、いよいよひかるの十八番が火を噴く。
瑞雲大賞は、ますます面白くなってきました。
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