2025年9月4日に公開された『キングダム』第848話「王の姿」を読みました。
前回は、秦・趙それぞれの“最強布陣”が集結するというまさに戦前の盛り上がり回でしたが、今回は一転して趙国内の内部事情にフォーカスされます。
郭開派と李牧派の確執、謎多き男・桃賈の動き、そして趙王遷と李牧の緊迫した対話が描かれました。
以下では、今回のエピソードの見どころや、今後の展開の鍵となりそうな点を掘り下げていきます。
キングダム848話|郭開の焦りと“四重スパイ”桃賈の立ち位置
郭開の別邸には、李牧を敵視する側近たちが集まっていました。彼らの狙いは明白です。
李牧が秦との戦いで英雄視されれば、王宮内での影響力が強まり、自分たちが排除される。
その未来を恐れているのです。
ここからも現在の趙の上層部は腐敗し切っているという事がわかります。
ただし、李牧を排除しようにも、今の趙に李牧以上の将はいない。
最強布陣の秦軍に対抗できるのは李牧しかおらず、下手に排除すれば趙自体が滅びかねません。
そんな中で動いているのが桃賈(ようか)でした。
彼は郭開に仕えるふりをしつつ、李牧にも仕え、秦側のスパイでもあるという男です。
かつて韓非子を手にかけた人物であり、李斯に「必ず趙を内部から崩壊させる」と宣言していた経緯もあります。
今回の描写を見る限り、郭開は本命ではなさそうですが、桃賈が“誰のために”動いているのかは依然として不透明です。
しかし、最後のページで趙王が李牧に邯鄲の兵を5万も預けるという決断を下したとき、桃賈はわずかに曇った表情を浮かべていました。
ここからやはり秦のスパイである事が本命なように感じます。今後のキーパーソンであることは間違いありません。
趙王遷の揺れる心と李牧との対面
一方、趙王遷(せん)は、凱旋する李牧を見に城外へ。そこで民衆の熱狂ぶりを初めて目の当たりにします。
その現実に遷は戸惑い、李牧との謁見では「俺が王で、お前は臣だ」と強調していました。
遷も民衆の熱狂ぶりをみて、内心「自分より王に相応しいのは李牧なのでは?」という疑問を持ってしまったのかもしれません。
だからこそ、あえて当たり前のことを口に出して確認せずにはいられなかったのでしょう。
注目すべきはこの言葉:
「普通のことが簡単ではない人間もいることを知れよ、李牧」
これはまさに遷の本質を表す一言だと感じました。
彼は前王(父)とほとんど会ったことがなく、王族としての教育も不十分だった可能性があります。
孤独に育ち、誰からも諫められず、結果として「普通の感覚」が欠如してしまった。そんな人間性が垣間見えました。
戦いの天才というだけでなく、政治や外交の才能もある完璧人間の李牧はにとっては、王の務めというものも簡単に見えるのでしょう。
遷からすれば、そんななんでもできる李牧を羨み、李牧が王になれば趙は安泰であるということに薄々気がついてしまったのかもしれません。
ただ、李牧と話す遷の表情はどこか嬉しげでもあり、会話の最後には邯鄲の兵5万を李牧に託す命令まで下しています。
前王が絶対に動かさなかった王都軍を、自らの判断で李牧に預けた。
郭開らのように、自らの行動に何も言わない家臣よりも、真正面から意見をぶつけてくる李牧という存在は、遷にとって初めての“本当の家臣”だったのかもしれません。
この決断には、遷なりの“信頼”が滲んでいたようにも見えました。
キングダム848話|今後の注目ポイント
- 郭開派の不穏な動き
今回の動きは“火種”として、どこかで再び李牧の危機を呼び起こしそうです。 - 桃賈の正体と最終目的
李斯に「趙を内部から崩壊させる」と言ったこの男が、どの勢力に最終的に与するのか。 - 趙王遷の成長?それとも崩壊?
今回の決断は成長の兆しか、それとも誤った信頼からの破滅の道なのか。
キングダム848話|まとめ
今回のエピソードは、戦の表舞台ではなく、その裏に潜む“不穏な空気”を描いた回でした。
王宮内の権力闘争、桃賈の暗躍、そして趙王の不安定な精神状態。
これらが、趙という国家をじわじわと内側から蝕んでいくかもしれません。
趙王が一時的に味方についたとはいえ、今のままだと李牧は内側の問題により十分に力を発揮できないような気がします。
筆者としては李牧との決着は信の手でつけてもらいたいというのが本音です。
次回、いよいよ戦が動き出すのか。
それとも、まずは“内なる敵”の動きが本格化するのか。緊張感が高まる展開に、今後も目が離せません。
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