2025年6月16日発売の週刊少年ジャンプでスタートした新連載、『ハルカゼマウンド』第1話を読んでみました。
最初は「よくあるスポ根系の野球漫画かな?」と思いながら読み進めていたのですが、ラスト数ページで一気に引き込まれる展開が待っており、予想以上にワクワクする幕開けでした。
今回はそんな『ハルカゼマウンド』第1話の感想と、物語の中でとくに印象に残った「現代っぽさ」を感じたポイントについて語っていきます。
原作は後藤冬吾先生、作画は松浦健人先生。
このお二人は、2021年までジャンプで連載されていた『仄見える少年(ほのみえるしょうねん)』を手がけていたタッグです。
◆ あらすじと物語の導入
物語の主人公は、双子の兄・久住凪春(くずみ・なぎはる)。
彼は弟の蒼風(あおかぜ)と、外見・体格・趣味までそっくりな“双子”です。
2人が同じ夢を抱いたきっかけは、幼い頃に一緒に観た甲子園決勝での「完全試合」。
「いつか2人で、あの舞台に立とう」と誓い合い、同じ未来を目指してきました。
しかし中学3年となった現在、兄・凪春と弟・蒼風の間には明確な実力差が生まれてしまいます。
蒼風は“最強世代”の中でも全国から注目される天才投手に。
一方の凪春は努力を続けながらも結果が出ず、「双子の“持っていない方”」とまで言われるようになってしまいました。
それでも凪春は夢を諦めず、自分にできる努力を重ねています。
そんな彼の前に現れたある人物との出会いが、運命を大きく変えていく事になります。
◆ 主要キャラクター紹介(第1話時点)
■ 久住 凪春(くずみ なぎはる)
本作の主人公であり、左利きの投手。蒼風の双子の兄。
天才的な弟に追いつこうと、居残り練習を続ける努力家ですが、なかなか結果が出ず、「双子の持っていない方」と陰口を叩かれることも。
そんな彼の運命を大きく変えるのが、後に紹介する人物・葉山です。
■ 久住 蒼風(くずみ あおかぜ)
凪春の双子の弟であり、“最強世代”と称される中でも注目の右利き天才投手。
普段は温厚で落ち着いた性格ながら、夢への情熱は兄にも負けないほど。
まだ本気を出していないような描写もあり、その底知れぬポテンシャルが今後の鍵となりそうです。
■ 葉山 伊吹(はやま いぶき)
元U12日本代表の捕手で、キャプテンとしてチームを優勝に導いた実力者。
中学生としてはかなり小柄な155cmの体格からか、近年は注目されなくなっていましたが、
本当の武器は、その豊富な知識と徹底的なデータ分析による“頭脳派プレー”。
弟に対する焦りから自信を失っていた凪春に声をかけ、彼を覚醒へと導いたキーパーソンです。
◆ 『ハルカゼマウンド』は“現代風スポーツ漫画”
第1話を読んでまず強く感じたのは、本作が“いまの時代に合ったスポーツ漫画”だということです。
スポ根漫画、とくに野球ジャンルはすでに多くの名作が存在しており、「やり尽くされた感」があると思っていました。
しかし『ハルカゼマウンド』では、データ分析や理詰めの努力といった現代的な価値観がしっかり描かれており、
従来のスポ根漫画をより現代風に描けいているように感じました。
また、今後の楽しみとしては、従来のジャンプ漫画らしい「特殊能力」的な要素も、“選手の個性”として自然に表現でき、物語のリアリティを損なわずに独自性を打ち出せそうです。
まだ第1話ながら、「これはこれまでとは違う切り口の野球漫画だ」と感じさせてくれる作品でした。
◆ 葉山の「計画」は、現代スポーツ界への挑戦
葉山が語る「計画(ゲーム)」には、現代スポーツ界への“挑戦状”のような意志を感じました。
筆者は野球に関しては詳しくないのですが、たとえばサッカーを例にとっても、
一昔前のように観客を魅了するような、「ファンタジスタ」と呼ばれる選手の感覚や個の才能が重宝される時代ではなくなっています。
今は、
徹底したデータ分析や戦術理解に基づいた“合理的なプレー”が重視される時代。
「華やかで自由なプレー」よりも、
“組織的かつ効率的な動き”こそが勝利への最短ルート――
そんな価値観が、スポーツ界のスタンダードになりつつあるのです。
当然、求められる選手像も変化しています。
スピード、体格、技術、メンタル……
あらゆる面で高い“基礎スペック”を備えた選手が重宝される傾向にあります。
どちらが正しいかは一概には言えませんが、
だからこそ、葉山のように「戦略と頭脳」を武器に、
個性豊かな選手たちで“天才”に立ち向かおうとする姿勢には、強く惹かれました。
筆者自身、決して“基礎スペック”が高い人間ではありません笑
だからこそ、「こういうやり方もある」と道を示してくれる葉山の存在に、
思わず希望を感じ、深く感情移入してしまったのです。
◆ まとめ:他と違う「野球漫画」が始まった
今回は、ジャンプ新連載『ハルカゼマウンド』第1話の感想と、
そこから感じた“現代的な魅力”についてまとめてみました。
双子の野球漫画といえば、過去には『タッチ』のような名作もあり、本作にもそういった名作と重ねて読む方がいるかもしれません。ただの努力や才能だけではなく、「どう戦うか」「どう勝ちに行くか」という思考まで含めて、物語の軸になっていくと感じました。
今後、凪春と蒼風の関係性はどう変化していくのか?
葉山が仕掛ける“計画”はどんなチームを作るのか?
そしてこの作品は、どんな“勝ち方”を見せてくれるのか?
今後が楽しみな作品です。
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