- 2025年7月28日に公開された『あかね噺』第168話「私は強くなった」を読みました。
ひかるが全てを出し切った「お菊の皿」の高座。
その評価を下すのは、爆笑派の大御所・正明師匠。
今回描かれたのは、ついに下された“結果”と、そこに込められた“認められる喜び”と“満たされない想い”でした。
あかね噺168話|正明師匠の評価に込められたもの
会場を熱狂させたひかるの高座の直後、ついに発表される得点。
正明師匠は、これまでの中で最高得点をつけました。
ただし、決して手放しで褒めたわけではありません。
ひかるは演技に熱を込めるあまり、原作からアレンジを加えていました。
その演出に対して、正明師匠は「浅はかだ」とバッサリ。
とはいえそれは否定ではなく、“原作を重んじる師匠”だからこその真っ当な指摘。
ひかるの芸を否定せず、「あなただから面白かった」と、演者と噺の相性の良さにはしっかり言及していました。
つまり、“技術”ではなく“落語家としての適性”をきちんと評価した――
その言葉には、声優ではなく“落語家”としてのひかるを認めるニュアンスが込められていたように感じました。
あかね噺168話|声優ではなく落語家としての成長
思い返せば、可楽杯でひかるが評価されたのは“声優的な表現力”でした。
しかし今回は、正統派の落語家である正明師匠から“落語家としての実力”を評価された。
そこに、ひかるの確かな成長を感じました。
噺選び、アレンジ、演出――
どれも“人”と“実力”が噛み合って初めて成立する世界。
その難しさと奥深さを、改めて感じさせてくれる高座でした。
あかね噺168話|それでも満たされない“ひかるの本音”
高得点、好評価、そして会場の熱狂。
それでも、ひかるの表情はどこか晴れません。
それもそのはず。彼女が本当に欲しかったのは“評価”ではなく、“勝利”だったからです。
あかね、からしというライバルたちと真正面からぶつかり合い、その上で得る勝利――
それこそが、ひかるが“競技者”として求めているもの。
一剣師匠が語っていたように、彼女は表現者ではなく、勝ちを目指す競技者。
今回の高座は最高の出来だったとしても、“競い合った末の勝利”ではなかったからこそ、どこか満たされなかったのかもしれません。
あかね噺168話|からし登場!“異端”から“王道”への変化
ひかるの高座が終わり、暫定1位に立った中で、次なる登場者は予選1位通過の三明亭からし。
かつては古典落語の型を崩す現代的アレンジが持ち味で、正明師匠との相性は最悪とすら言われていました。
しかし今のからしは違います。
円そう師匠の下で修行し、古典の純度を高め、講談すらこなすようになった。
“異色”だった彼が、落語の“王道”を身につけた今――
むしろ正明師匠との相性は、かなり良いのでは?という期待もあります。
次週、どんな噺を選び、どう進化を見せてくれるのか楽しみです!
感想まとめ|ひかるの物語の一区切り、次なる焦点は“からし”へ
3話にわたり描かれた、ひかるの十八番「お菊の皿」がついに完結。
彼女が“落語家”として正統派の師匠から評価されたことは、読者としても胸が熱くなる展開でした。
ただ、それでも彼女が満たされない理由も、痛いほどよくわかります。
瑞雲大賞もついに折り返し。
次なる主役は優勝候補筆頭のからし。
あの“異端児”がどんな落語で、正明師匠を唸らせるのか――期待が高まります!
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